イベント企画書の作成例【宿泊施設の集客企画】

その施設を利用する理由は何なのか?

以前、とある宿泊施設の利用者を増やすための企画を依頼されたことがありました。その宿泊施設は、もともと企業の研修や保養所としての利用をメインに作られたのですが、企業の需要が徐々に減少しており、一般客の利用を増やしていきたいというのが依頼の趣旨でした。

宿泊施設は周辺に強力な観光コンテンツがあるわけでもなく、食事もお風呂(一応温泉でした)もそれなりといったものでした。そのため、一般客を宿泊させるためには、ここに「泊まる理由」が希薄で、なかなか集客をするのは難しそうだなというのが、初めに話を聞いた時の感想でした。しかし「一度泊まりに来てみてください」と言われ、実際に現地に宿泊して、担当者の話を聞いたときに集客企画の糸口になりそうなネタが少しだけ見えたのです。

それは「桜」でした。施設の周辺は森林公園になっていて、トレッキングなども楽しめるよう整備されており、その中に施設を取り囲むように桜が植えられてました。それだけなら別段珍しくもないのですが、公園には開花時期の違う数種類の桜が植えられており、春だけではなく秋冬と季節をまたいで桜が楽しめるという中々珍しいロケーションに恵まれた場所だったのです。

そこで、この季節をまたいで楽しめる「桜」をテーマとして「宿泊したくなる理由」を作り出し訴求していく企画を考えました。参考として一部をご紹介いたします。

 

【企画例/施設に関するもの】

期間限定で桜をテーマにした「コンセプトルーム」を設置

各種桜の開花の季節に合わせた、限定1部屋のコンセプトルームを開設し、室内には桜の生け花や、桜に関連するグッズ(桜柄の照明や内装、浴衣など)の設置や、宿泊者限定サービス(桜の料理特別コース)などを用意。

 

桜の花びらを浴槽に入れた「桜風呂」を用意

希望者限定で、個室内にのお風呂に桜の花を浴槽に浮かべた「桜風呂」を用意。

 

部屋に用意する茶菓子や飲み物を桜に関連するものに

「桜茶」や「桜ゼリー」など、桜に関連する飲み物やお茶うけを用意。

 

ベッドメーキングの際「桜の小物」を置いたり、帰りには桜に関連する「お土産」を用意

ベッドメーキング担当者のメッセージカードと一緒に「桜の小物」(桜柄の折り紙や、桜の小枝等)を添えて施設=桜をより印象づる。また、お帰りの際に「桜」に関連するお土産(栞など)をお渡しする。


【企画例/従業員に協力してもらうもの】

季節ごとの施設周辺の桜の写真や押し花を入れたお礼状“さくら便り”の発行

宿泊されたお客様へのお礼状として、季節ごとの桜の写真や押し花は度を入れた絵葉書“さくら便り”をお送りする。宿泊者が宿泊した後の種類の桜の絵葉書をメッセージ付きで送り、他の桜が咲いている季節に宿泊してみたいという気持ちを喚起させる。

 

「桜」をテーマにした、名物料理の開発・提供

桜のチップを使った特製ベーコンや桜肉料理など「桜」をテーマにした名物料理の開発・提供を実施。

 

毎月3・9のつく日だけ購入できる、桜をモチーフにした限定スイーツの開発・販売

伊勢赤福の「朔日餅」の様に、購入できる日・購入できる個数を限定した、特製「さくらスイーツ」を作成。3・9(さくら)の付く日に宿泊していただいた方のみ購入可能などの付加価値を持たせて販売。

 

公式SNSの開設&季節の花情報の発信

施設の近隣の草花の写真などを毎日アップし、一言コメントを入れるSNSを運営。毎日の写真で少しづつ変わっていく景色を感じで頂き、来場契機へつなげる。

 

【企画例/来場促進ツールやwebサイトの作成】

周辺の桜の開花や見ごろ情報を記載した、パンフレットや特設webサイトの開設。

周辺森林公園の桜の開花や見ごろの情報を記載した、パンフレットの作成や特設サイトを開設。

 

見ごろを迎えた桜を時期ごとに配置した「桜スタンプラリー」や「桜パスポート」発行

何回も足を運んで、その時期に開花している桜の種類を楽しんで頂くべく、「スタンプラリー」や、来た回数によって特典を受けられる「パスポート」の発行を行い、継続利用客の増加を狙う。

 

日帰り入浴者増加施策「日帰り入浴パスポート」の発行

宿泊者以外の利用客の増加施策として、日帰り入浴客用のパスポートを発行。持っているだけで基本利用料が割引になるほか、利用回数に応じて特典なども。

 

【企画例/施設外ワークショップなどのオプションプログラム】

“自然歩きの達人”が案内する「森林公園ネイチャーウォーキング」

自然散策や森林ウォーキングのゲスト講師を用意し、事前申込制でネイチャーウォーキングを実施。周辺の豊かな自然を観察し、特製のお弁当等を食べるオリジナルプログラムの開発を行う。

 

夏休みの子供向けワークショップ企画

夏休みのファミリー層集客案として、自然科学の講師を据えての自然学習ワークショップを実施。親子で参加し、夏休みの自由研究としても活用できる内容とする。

 

プロカメラマンが教える自然の撮り方講座と撮影会

風景写真専門のプロカメラマンを講師にした「自然の撮影方法」ワークショップを行い、屋外で実際にレクチャーをしながら、オススメの撮影ポイントを回り、一緒に撮影会などを実施。

 

以上になります。

企画の方向性の一つに「強みをより活かす」という考え方があります。この時は日本人に馴染みの深い「桜」という情緒的な強みと「複数の季節で楽しめる」というここにしかない機能的な強みを組み合わせて、上記のような企画を作ったのですが、同じように、何か1つ目玉になるような強みがあれば、それをテーマに据えて様々な方向に企画は広がっていきます。よろしければ皆さんの企画作りの参考にしてみてください。

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