『記者発表』の企画・準備と実施方法

記者発表は「ネタがすべて」

新しい製品やサービス、新発見、プロジェクトの始動など、世間に向けてなんらかの発表をしたいときに行うのが記者発表です。

記者発表はメディアに発表情報を露出させるために様々な趣向を凝らして行われることがあります。ただし、記者発表で奇抜な演出を行うだけではメディアに取り上げられません。必要なのは記者発表で紹介されたものが「この情報は記事化の価値がある=消費者にメリットがある」と判断されるかどうかです。演出はあくまで補助的な要素であり、幾らお金をかけて発表を行っても肝心の中身がつまらないものなら露出は見込めませんし、逆に発表にお金をかけずとも内容が素晴らしいものであれば露出されます。つまり記者発表は「ネタがすべて」であると言えます。

では、記者発表における「良いネタ」とはなにか?

それは

・独自性(その商品やサービスならではの機能や価値)

・話題性(多くの人の興味を引く内容)

・時事性(時流に沿ったもの)

を持ったものです。

これらの要素を含んだもの、あるいはこの要素の中で1つでも突出したものが有ることが理想です。

 

記者発表の企画から実施までの流れ

ここからは自社で企画から運営までを行う方法を解説していきますが、記者発表会は広告代理店やPR会社に企画や運営をまるごと委託することがほとんどです。彼らは同様の記者発表会の経験やノウハウを多く有しているため安心ですし、なによりメディアへの対応方法を熟知しています。もちろん任せるにはそれなりの料金がかかりますので、予算と時間のバランス、そして失敗できないというリスクを考慮し委託するかどうかを検討してみてください。

それでは、企画から実施までの流れを「10年の歳月をかけて完成させた、日本初の××をつかった和菓子」の記者発表を例に説明をしていきます。

 

1.日時の決定と会場の選定・下見と予約

初めに行うことは、日時と会場を決めることです。日時についてのポイントメディア関係者が比較的動きやすい「平日の午後」に設定することをおすすめします。メディアの人間は忙しく、午前中に動けないことも多いからです。

そして会場選びですが、ポイントは「メディア関係者が来やすい立地」「必要な設備が整っている(または会場のスタッフが記者発表に慣れている)」「発表する内容のイメージ合っている」の3つです。記者発表の場所について決まりはなく、ホテルの宴会場でやることもあれば、廃校をつかったり、会社の会議室でやったりと様々です。会場選びも記者発表の演出の一つとして企画を行う場合は発表する商品やサービスの内容とイメージが一致する場所の方が、記事になった際にインパクトがでることもあります。

今回の例でいうと、「和風の会館」や「旧武家屋敷の庭園・公園」など、和の要素を含んだものなどが親和性が高くなります。

会場選びから下見と予約に関して、詳しくはイベント会場の選定方法から決定までで解説していますので参考にしてみてください。

 

2.企画書とプレスリリースの作成

次にすることは、企画書とプレスリリースの作成です。この発表でメインとなる「誘引フック」は「10年の歳月をかけて完成させた」という『ストーリー性』、「日本初の××をつかった和菓子」という『独自性』の2点です。企画はこの2つを前面に打ち出すものとします。たとえば、記者発表会の会場で、実際の和菓子の試食に合わせて「開発ストーリーブック」をプレス関係者に配布したり、××を使う意外性が分かりやすいように通常の和菓子との食べ比べをする演出を入れるなどです。またプレスリリースの作成にあたっても、この2点を前面に打ち出し、メディアの興味を掻き立てる記者発表会のタイトルとコピーを考えます。また、商品のイメージキャラクター(タレントなど)などがいる場合は、記事になった場合の「画」が映えるため、一緒に発表に出演してもらったほうが訴求効果が高まります。

なお、プレスリリースの書き方については、プレスリリースを配信して、無料でwebやテレビ、新聞、雑誌にイベントを取り上げてもらうで詳しく解説しています。

 

3.実施計画書の作成

記者発表の実施計画書を作る上でのポイントは2つ。まず「メディアへの対応方法」です。メディアの人間が会場へ来た際の「メディア(プレス)ブリーフィング(発表会の流れや撮影のポイントを事前に集まったメディア関係者へ説明すること)」の段取りや、TVカメラが来た場合のカメラ台や音声ライン分配器の用意、「プレスキット(記者発表の資料や、記事化の際の写真等素材データ、商品サンプルなどの詰め合わせ)」の内容検討などとなるのですが、これは慣れていないとそもそも何が必要なのかも分からないため、出来ればPR会社や広告代理店に一部または全部を委託することをおすすめします。もう1つは、「発表の演出」です。例は「10年の歳月をかけて完成させた、日本初の××をつかった和菓子」の発表ですので、実際に和菓子自体を見せたいところです。例えば10年というストーリーを打ち出すのなら「10才の子供が商品の発表をする」であったり、日本初の××を打ち出すなら「××の加工の難しさを、芸人を使ってコントに仕立てて演出するなどです。記者発表では、ネタが全てではありますが、それを一般消費者が分かりやすい形で伝える必要も出てきます。

また、実施計画書全体の構成や記入すべき要素に関しては【作成例を公開】イベント実施計画書(運営マニュアル)の書き方に詳しく記載しています。

 

4.プレスリリースの配信とフォロー

プレスリリース配信の前に、まず「配信先リスト」を作成します。なぜリストを作るかというと、発表内容と親和性の高い媒体を選定するためです。例えば和菓子の発表にペット雑誌を読んでも記事化される可能性は限りなくゼロです。配信先のメディアについては、インターネットで調べることもできますが、手っ取り早くて正確なのは「PR手帳」を購入して、そこに書いてある各媒体社からリストアップを行う方法です。(PR手帳は大きめの本屋さんで2000円程度で売ってます。)ただし、プレスリリースはメールまたはFAX(たまに郵送のみ受付という新聞社もあります)での送付が一般的なのですが、PR手帳には電話番号しか書いてません。そこで、リスト化するために1件づつ電話をして「プレスリリースをどのように送ればよいか(メール/FAX/郵送または他の方法)」「担当者の名前」を聞き出していきます。

こうして完成したリストを元に配信を行います。プレスリリースには「発表する内容」「場所や日時などの記者発表の概要」「参加申込書」を記載し配信を行います。配信が済んでもそこで終わりではありません。配信したリリースがちゃんと担当者の手元に届いているかのフォロー電話をして、さらに記者発表に来てもらえるようプッシュをしましょう。

なお、今回の例でいうと、配信先の候補は「新聞社」「経済系情報紙」「TV番組(情報番組・ニュース番組)」「菓子業界紙」「女性向け情報誌」などになります。

今回は記者発表ということで、自分たちでリリースを配信する方法だけを記載していますが、webによる「プレスリリース配信サービス」を活用すれば、安価にweb媒体へ配信することもできます。

 

5.記者発表の運営

いよいよ記者発表の本番ですが、始まるまで本当に胃が痛くなります。というのも、TVや新聞社から「当日いくよ」と返事をもらっていても、当日たまたま他に重要な事件等が起きた場合はそちらの取材を優先するため、ドタキャンされることはよくあります。こればっかりは大きな事件が起きないよう祈るしかありません。

メディア関係者が受付にきたら、そこで名刺をもらいましょう。(個人情報にあたる場合もあるので、保管と取り扱いは要注意です。)名刺は、今後同じような記者発表を行う場合の大事な情報資産となります。プレスキットは受付で配ってしまうのが一般的ですが、「見本のお土産」だけ、帰りに配るなどしてもかまいません。ある程度の人数がそろったら始まる前までに一度「メディア(プレス)ブリーフィング」を行います。そこで段取りを説明し、そこから記者発表を行います。また、発表後は「個別取材」や「囲み取材」などの時間をもうけるのが一般的です。記者発表が終われば、あとは放送・掲載されるように祈るだけです。(たまに、発表後に記者などから、「追加でもっと詳しい○○の資料が欲しい」などの依頼が入ることもありますので、発表後も気を抜かず、すぐにメディアからの要望に応えられるようにしましょう。)

 

6.事後対応

記者発表後、無事にメディアに放送・掲載されたとしても、そのメディア担当者から掲載された見本の新聞や雑誌を送ってくれることはほぼありません。ですので、自分たちで当日会場に来た、メディアが発行している新聞や雑誌、TVをチェックしなければいけません。数が少なければ自力でチェックもできますが、数が多くなると全部を網羅することは難しくなります。そこで活用したいのが「クリッピング・モニター会社」です。日本全国で発売されている新聞・雑誌・TVから、こちらが希望するキーワードが掲載されている紙媒体の切り抜きや、TV番組の録画を代行してくれるため、記者発表の露出調査には欠かせません。こうして集めた掲載情報を報告書にまとめ、内容の検証と次回以降の実施する場合の参考とします。

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