『記者会見』の準備と実施方法

記者会見を開くことになったら?

「記者会見」と「記者発表」の違いで説明したとおり、「記者会見」はメディアや世間からの要望に応じて開くものです。つまり、ほとんどの場合「開かなくてはいけない状況になって」開くことになります。会社内に広報室を設置していたり、法務やメディア対応に詳しい人を抱えていない企業などはこのような状況になったときは、どのような準備をしなくてはいけないかわからず、かといって会見を開かないわけにもいかず、突貫で準備して開いたあげく余計に事態を悪くしてしまうこともあります。

では、突然記者発表をしなくてはいけなくなったらどうすればいいか?

もっとも賢明な方法は、メディア対応に詳しいPRプランナーや、企業の危機管理に詳しい人間などを中心にチームを組み対応を行うことです。webで「PR会社」と検索すれば出てくる企業に依頼すれば、海千山千のチームが記者会見の準備から実施までを仕切ってくれます。

基本的に初めての記者会見をすべて自社で運営することはおすすめしませんが、いざという場合の予備知識として、記者会見実施までの一連の流れをごく簡単に紹介します

 

記者会見の準備から実施まで

1.会見者の人選

初めに人選です。会見者としてメディアの前に出る人として「正確な受け答えができる人」と「事案と会社のイメージを象徴する人」の2名は確保しましょう。この2つを兼ねた人であれば1名でも構いませんが、できれば2名以上を確保するのがベターです。多くのメディアの前で、普段通りに受け答えをするというのは慣れた人間でない限り相当難しいことです。1人が言い淀んだ場合にもう1名がフォローできる体制を作っておくということと、質問に対して答える「実務者」と、企業・団体のイメージを担当する「象徴」という2つの役割をつくることで、会見にのぞむ姿勢と企業イメージが会見を見た人に分かりやすくなるからです。

また、裏方として進行(司会)および各メディアの調整を行う人間を立てます。この担当者はメディア対応に明るく、とっさの判断ができる人間が望ましいです。が、通常そんな人間を抱えている会社は大手でなければそうそう無いと思います。ここは外部のPR会社に委託しましょう。

 

2.会見用の台本と想定問答集の作成

次に台本と想定問答集の作成です。会見の流れは簡単に言うと「なぜそうなったか。経緯の説明」「今後どのようにするか。対応の説明」「質疑応答」となります。台本の作成に関して注意することは1点だけです。それは「嘘を書かないこと」です。はっきりいって嘘はすぐバレます。しかもバレた場合、修復不可能なくらい信用を失うことになりかねません。

想定問答集は、できる限り色々な角度からの質問を想定して作成してください。記者会見において一番の肝はこの記者からの質問に対しての返答です。また、できれば台本・問答集ともに顧問弁護士などの法務関係者や広報関係者によるチェックを入れたいところです。

 

3.場所の確保

次は場所の確保です。自社の中に適当な広さの会議室があればそこでもいいですが、無い場合はどこかの貸会議室やホテルの会議室などを借りてください。場所の広さは問い合わせ数に応じて適宜調整します。通常50から100名位の会議室であれば事足りるかと思います。(もし会見内容が世間に激震を走らせるような内容であれば、その限りではありませんが。)

なお、著名ホテルであればこの手の会見には慣れているため、内容や段取りを説明すれば一通りの準備をしてもらえます。普通の会議室などで行う場合でも、記者会見の場合マイクなどの必要最低限の機材があればとりあえずはOKです。(PR会社に委託すれば、メディアごとの音声ラインの調整などを取り仕切ってくれます。)

 

4.開催通知

準備ができたら、記者会見の開催通知をしましょう。日時と場所を記載して○○の記者会見を行いますと書いた紙を用意し、すでに問い合わせがきているメディアに対してはその担当者へ、他のメディアを呼びたい場合には、各メディアの代表またはリリース窓口へFAXやメールを送ります。もし事前に参加メディアの数を把握したいなら、用紙に出席確認欄を設けて参加の有無と参加希望人数を書いて戻してもらうようにします。ただし大人数で来られても困るので、1社あたりの最大参加人数を決めておきましょう。

 

5.記者会見本番

いよいよ記者会見です。記者会見のポイントは2つ。上で述べた「嘘をつかないこと」と「冷静な対応をすること」です。メディアの人間は基本的にいやらしい質問をしてきますし、自分たちが聞きたい情報や欲しい答えが出るまで食い下がります。そこで感情的に攻撃的な対応をすると彼らの思うツボです。センセーショナルな見出しとともに、あること無いことを書かれる可能性があります。あくまで冷静に、慎重に、言葉を選んで対応をしましょう。ここでの対応があなたの会社の今後を左右することになるかもしれません。

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