【金額と予算感】イベント見積書の作成例とポイント

イベント見積もりの作成ポイント

これからイベントの見積書の書き方を解説していくのですが、その前に見積書を作成する上で大事な点を3つお伝えします。

1.出来るだけ細かく項目を出す

例えば、おおざっぱな「○○一式」などで見積もりを出してしまうと、後で「予算が無いからこの項目削除しましょう」などと指示が来た場合に、その中に含まれていた本当は他でも必要な予算が削除されてしまったり、後で必要だったと気づく事が多々あるからです。見積もりには(現状わかっている範囲で)出来るだけ細かく項目を出して、必要な要素を確認するという役目もあります。

2.エリアやコンテンツに分けて整理する

どこに何がどれだけ必要なのかということを、図面や計画書などに照らし合わせてすぐに理解できるものにすることが必要です。特に大型イベントの場合は見積もりが10ページ以上になる事もざらのため、大見出し、中見出し、小見出しのように系統立てて作成するとより分かりやすい見積もりになります。

3.予備費をみておく

経費と収支のポイントでも解説しているように、イベントでは突発的に様々な費用が発生します。初めに予備費を見ておかずに目いっぱいに予算を組んでしまうと、後で何かが起こった際にどこかの項目を削るなどの対応に迫られることもあります。予備費は事業規模にもよりますが、全体予算の3~5%位を確保しておくとかなり安心してイベント制作を進行することができます。(もちろん予備費を確保できるほどの予算的な余裕が無いことも多いのですが。)

以上を踏まえ、架空のイベントを例に見積もりの作り方を説明していきます。

架空のイベントを例に見積もりの作り方を解説

仮に以下のようなイベントを行うとして見積もりを作ってみました。

見積もりの作成条件

「株式会社イベントのつくりかた」からの依頼で、利用者向けの還元イベントとして『イベントのつくりかた感謝際』を行うことになった。

場所は国内の某ホール、日程は本番1日、前日に準備を行い、本番終了後に撤去作業を行う。

実施コンテンツは「ステージでの出し物」「エンターティンメントコンテンツAとB」

というような条件です。

はじめにすること

まずは、作成ポイントの2「エリアやコンテンツに分けて項目を整理」します。

今回は、

A 会場費関係

B 企画・製作費関係

C 運営費関係

D 会場施工費関係

E 音響・照明・映像費

F Web・クリエイティブ費

G 広報・告知費

H ゲスト・コンテンツ費

I イベント管理費

の9項目に分けて作成を行いました。もちろんこれは今回の例に合わせたものですので、内容によって適宜作成をしてください。

では各項目ごとに具体的な説明をしてまいります。

A 会場費関係

会場費については、その名の通りイベントで使用する会場関係で掛かる費用になります。

施設利用料の箇所で「1.5日」となっている項目と「1.0日」になっている項目がありますが、これは前日(準備日)も利用する箇所と、当日(本番日)のみ利用する場所によって変わってます。会場次第ですが、準備日の利用料が半額になることもあります。そのため前日分の数量を0.5として計上しています。

また、施設備品利用料とは、その会場備え付けの備品を借りる際に掛かる費用になります。ほとんどの場合一般的な価格設定よりも安い値付けがされているため、事情がない場合は会場の備品を使用した方がお金がかかりません。

B 企画・製作費関係

企画・制作費とは、イベント自体の企画料や準備作業費になります。ここでは企画・事前作業費として、企画費や会場の下見、出演者の折衝費そして備品の発送費などを計上してます。制作・資料作成費は、イベント運営に必要な各種資料「マニュアル」や「台本」などの作成費や印刷費、そしてイベント終了後に提出する「報告書」などの作成費が入ってきます。

また「運営用サイン」とは、わざわざ造作屋さんにお願いするまでもなく、且つ大量に必要になったり、臨機応変な対応が必要になる“現場運営用の出力サイン”になります。「ステージ幕間用画像」はステージのプログラムとプログラムの間の“幕間(まくあい、まくま)”と呼ばれる時間にスクリーンに映しておく画像などのことになります。パワーポイントのスライドショーなどで作成したり、場合によっては専用の画像やロゴなどを作成したりします。

C 運営費関係

運営費とは、イベントの現場を回す上で必要となる人やモノなどの項目になります。運営人件費では、役職ごとに単価と稼働日数が変わってきます。稼働日数が「2.0日」となっている役職者は前日から入って準備を行う、いわゆるコアスタッフとなります。

また、イベント内容に応じて「司会者」や「記録用カメラマン」なども運営費に入ってきます。

その他イベントの運営にかかってくる諸経費はこの項目にまとめていますが、場合によっては別に項目をつくっても良いかもしれません。

D 会場施工費関係

これは、イベント会場の造作物や各種工事レンタル備品などをまとめた項目になります。会場造作に関しては今回の例ではステージは会場の付帯備品を使用するため、ステージのバックパネルと両サイドの袖パネルをつくるだけです。また、コンテンA・Bの造作はAが「オクタノルム」というイベントの施工でよく使われるシステムパネル、Bが「木工」としてます。システムパネルは安いけど画一的な形になりやすく、木工は自由度が高いけど金額も高くなります。

サインというのはいわゆる看板です。入り口に大きなものを1つと、会場内の順路や場所の誘導用に複数枚のサインを用意してます。

電気工事は、コンセントを使わずに会場内の各コーナーへ電気を引き回す際には必要になる作業です。今回は1次側(基礎工事)は会場の指定業者が行い、2次側(基礎工事から各コーナーへの引き回し)はイベントを行う側が担当するようになります。

会場で使用するレンタル備品もこの項目にまとめてます。そして、施工を行う場合かならず設営・撤去のための車両や人、そして出たゴミの処理が必要になるためそれを計上します。

そして会場のレイアウトや木工造作物などの設計・デザイン費用として「会場図面作成費」がかかってきます。

E 音響・照明・映像費

音響費は今回の場合ステージで使う音響機器とそのオペレーターの費用になります。俗にPAと(パブリック・アドレス)よばれます。会場の付帯品だけで足りることもありますが、足りない場合は持ち込みを行います。照明費は同じくステージで使用する照明です。映像もステージで使用しますが、今回はスクリーンとプロジェクターを会場の付帯品にしているため、映像を映し出すためのオペレーティング機材の持ち込みがメインとなります。

会場によっては「小屋付き」とよばれる指定業者を使わなくてはいけない場合もあります。

F Web・クリエイティブ費

Web制作費については、今回の見積もりでは企業ページに紐づけせず、独自の特設サイトを立ち上げる想定で組んでいます。また、クリエイティブ費とはデザイン費になります。イベントのロゴや各種印刷物・広告物のデザイン費になります。ここでは分かりやすいように印刷費も同じ項目に入れています。

また、Web・クリエイティブに関して、付き合いがある会社が無い場合、どこに見積もりを取ってよいか分からないということもあるかと思います。そんな場合はクリエイターへの制作依頼や見積もりがオンラインで完結するココナラのようなサービスを活用すると便利です。

G 広報・告知費

今回はあまりお金をかけずに告知を行うイベントとなるため、web広告(GDN/YDN)とプレスリリースの配信のみになっています。

たくさん広告を打つのなら、ここに紙媒体(新聞・フリーペーパーなど)や電波媒体(ラジオなど※TVは予算的にキビシイ)交通広告(駅貼りポスターや中吊り広告)なども入ってきます。また、うまく取り上げられれば大きな広告効果をもたらす手法として「プレスリリース」の配信が挙げられます。プレスリリースの詳細や書き方は、こちらの記事を参照にしてください。

H ゲスト・コンテンツ費

ステージに出演するタレントの費用や会場内で行うプログラムの費用になります。ステージゲストは一式で単価を表記していますが、出演料の他に交通費や食事代、場合によっては宿泊費が掛かってきます。

I イベント管理費

イベント全体の管理費として合計額の10%を計上しています。管理費として項目を設けることで、全体の額が変動しても10%の利益は確保できるとともに、冒頭で説明した“予備費”としての意味合いもあります。

各項目合計

今回は各項目の合計を最後にもってきていますが、見積書として作成する場合には各項目の合計を表紙にして、その後各個別項目の内訳ページを付けるほうが見やすくなります。

いかがでしたでしょうか。

ぜひ説明したポイントを参考に「分かりやすく」「通りやすい」見積もりを作ってみてください。

また、イベントの見積作成にあたって、イベント制作のパートごとに見積を取ったり依頼を検討している場合には、イベント制作や企画スキルをもったプロにWebで見積や相談が出来る、クラウドソーシングサービスを活用するという方法もあるので、気になる方はチェックしてみては。▼

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