記者発表で、商品やサービスとまったく関係ない芸能人を起用するのはなぜ?

新作映画の発表会で、映画に全く関係のないタレントが起用される謎の現象の正体

テレビを見ていると海外の新作映画やドラマなどの発表で、特に吹き替えなどを担当しているわけでもない、その作品に縁もゆかりもない芸能人が出てきてPRすることがよくあります。

また、海外映画・ドラマに限らず、国内の商品やサービスの記者発表でも同様のことがよく起こるのですが、この現象に違和感を覚える方もいるのではないでしょうか。

実はこれにはいろいろな理由があります。

キャスティングの事情

映画やドラマの発表ですから、当然その映画やドラマの監督や出演者が発表を行うのがいいに決まっているのですが、世界でそれなりの興行収入を得られる見込みのある映画やドラマ以外では、プロモーションのために監督や主演は俳優が来日することはありません。

となると、記者発表を行う人間は必然的に日本国内のだれかということになります。じゃあ誰を起用するかというわけなのですが、そこで重要になってくるのが、メディアの引きがあるかという点です。ニュースや情報番組におけるTV局の取材するしないの判断の基本はごくシンプルで『視聴者にとって有益な情報か=視聴率が取れるか』です。その作品自体に魅力があれば、リリースを流せば取材に来てくれるかもしれませんが、まだ日本で有名ではない作品の場合は、まず「取材に来てもらうこと」が必要です。でなければ、そもそもその作品自体の情報が消費者に届かないからです。

つまり、メディアに少しでも「視聴率が取れるかも」と思ってもらうために『全く映画には関係ないけど、話題になりそうな人物』をキャスティングして、なぜその人間を選んだかの理由は後付けでこじつけるわけです。

だから、全く作品に関係のないタレントがPRを行う

そんなわけですので、「今ブームになっている芸人」や「今が旬のタレント」が出演して、作品の衣装を着たり、物語のシーンをまねたりして記者発表が行われます。TV局側もその事情は十分分かっていますので、情報番組での紹介の仕方はこんな感じになります。

「昨年アメリカで○万人が視聴したクライムサスペンスドラマ□□の発表会が行われた」

「PR部長として、作中の××部長の恰好をした、タレントの○○が出演し、作品の魅力を伝えた」

「熱愛が発覚中のタレントの○○には、お相手と言われている女優の△△の質問が相次いだ」

「タレントの○○は交際は順調かの質問には、軽くうなずいたのですが、そこで関係者が割って入り質問が打ち切りとなった」

「以上クライムサスペンスドラマ□□の情報でした」

文章にすると、支離滅裂でなにを言っているかが分からないのですが、こんな感じで放送されます。