【イベント業界への就職について】就活生に聞いてみたイメージと、実際の状況

※この記事は2017年のものになります。2022年版の記事はこちらをどうぞ。

就活生にはかなり不人気。イベント業界のリクルート状況

先日同業のイベント会社のリクルート担当者と話す機会があったのですが、ここ1、2年まったくいい人材が集まらないと嘆いてました。(2017年10月時点の話)

その会社は弩級のブラック企業で、過去に何人も鬱にして辞めさせているのですが、なぜか毎年大量の新入社員を囲い込んでおり、ずっと不思議に思っていたため、どうして急に集まらなくなったのかを聞いてみることにしました。

その担当者いわく、もともとここ数年は(会社にとって都合の)いい人材の応募自体がどんどん少なくなっており、不本意でもとりあえず頭数をそろえるために会社が欲しい人材レベルを少し下げて採用を行っていたが、いかんせんそういう人材はすぐ辞めてしまい、まったく人が残らない状況が続いていた。

そこで対応策として、はじめから「半分は辞めるだろう」という前提の元、採用を行い始めたら、10人採用して半年後には8人辞め、1年後には1人辞め、3年後にはゼロといった具合に半分どころか1人も定着しない。

そして、そうやって辞めていった元社員たちは、自分達が受けてきた理不尽な扱いを全てネットに公開してくれるため、今就活をしている学生はその情報を元に、会社に寄り付かなくなっているのではないか。…というのが彼の推測でした。

自分達のパワハラで辞めていった元社員がネガティブな情報を拡散しているという彼の見解も、いい人材が応募してこない理由の一部ではあるとは思いますが、私はもっと根本的な理由にあると思います。

大学生・就活生にイベント業界への就職に対する本音を聞いてみた

知り合いの広告代理店の若手社員が、定期的に大学生の広告系サークルの講師のようなものを行っており、私も打合せのついでにたまに見学したり、気が向いたときは一緒にグループワークをしたりしていたのですが、この間そのサークル活動の打ち上げに参加することになりました。

そこで学生たちとざっくばらんな話しをしたですが、彼らの大部分は広告系サークルに入っているにもかかわらず広告や広告業にあまり興味がなく、なんとなくでこのサークルを行っているようでした。

まぁ大学のサークルなんてそんなものなので、あまり気にも止めていなかったのですが、具体的にイベント企画会社への就職について聞いてみたところ、以下のような答えが返ってきました。

「〇〇(私のこと)さんの疲れが隠せない顔を見ていると、やめたほうがいいと思ってしまう」

「一生続ける仕事ではないと思う」

「イベントは行くものだと思う」

などなど

彼ら・彼女らとしては、なんとなくのイメージで答えている部分もあると思われますが、どれもイベント業界への就業に関する問題点を的確についています。

とどのつまりは

「辛い割に見合った収入を得られないのではないか」

「安定した仕事につきたい」

「自分の時間を犠牲にしてまで“好きなこと“をしたいとは思わない」

といったところが敬遠される理由でした。

はっきりいうとイベント業界の仕事は「割に合わない」

正直にいってしまうと、イベント業界の仕事は割に合いません。土日のイベントであればもちろん休日出勤しなくてはいけませんし、イベントの準備作業は非常に手間がかかり、ある程度慣れた人間が効率的に仕事をしても、一般の平均的な就業時間の中でそれを終わらせることは非常に困難です。

また、現在業界の中で設定されている業務ごとのガイドライン単価も、作業内容と必要なスキルを考えると決して高く設定されているわけではありません。はっきりいうと割に合いません。

それでも続ける人間がいるというのは、ひとえにこの仕事が「面白い≒好き」ということに尽きるといえます。

企業のキャンペーンで全国を飛び回ったり、まだ知られていないご当地グルメを集めて紹介したり、日本で初めて、世界で初めてのイベントをしたり、お客さんから面白かったといわれたり。と仕事の中身にはたくさんの魅力があります。

ただし、それをとりまとめてカタチにするためには莫大な労力が必要になりますし、それに見合った報酬があるかといえば無いことのほうが多いです。

そこを天秤にかけた時に、「それでもやりたい」と思える人が残っているのですが、そう思える人は年々少なくなっている気がします。

「好き」だけじゃ続けるのは難しい。イベント業界が向いてる人、向いてない人

イベント業界が向いている人を一言でいうと「細かいことを気にする臆病さと、割り切って突っ走れる大胆さ、両方を持った人(あるいはどちらかが突出している人)」です。

イベントの準備作業はチラシの文字構成であったり、台本の名前の確認、ゲストの移動行程の確認やチケットの手配などなど、あきれるほど細かい作業の積み重ねです。しかも、それをミスしてしまい大きな問題に発展してしまうことも多々あります。ただ、全部にそんな気を使っていたらとんでもないストレスにさいなまれてしまうので、「要点を抑え、細かくチェックしなくてはいけない個所は絶対に抑える」というバランス感覚が重要です。

また、イベントは生ものですので、いくら準備をしても当日に何が起こるか分かりません。そんなときに割り切って大胆な判断をできることも重要な資質の一つです。また、特にイベントの企画コンペでは、当たり障りのない企画より、大胆でリスキーな企画が通ることのほうが多いです。そのため、企画段階である程度リスクには目をつむって、面白い企画をつくることが必要になることもあります。

逆に向いていない人は、「体力が無い人」です。そのほかにもいろいろあるのですが、体力が無ければそもそもどうにもなりません。深夜の会場施工であったり、炎天下での誘導であったり、長時間のデスクワークであったり、とにかくイベントには体力が必要です。そのほかの資質は意外とどうにでもなりますが、こればっかりは無いと、向く向かないの前に続けることは困難でしょう。

イベント業界に興味がある人に向けて

はっきりいって辛いです。やめたくなることも1年に1回や2回じゃありません。でも楽しいことも(ごく)たまにはありますよ。

もし、イベント・広告業界への就職を検討している方がいらっしゃれば、お伝えしておきたいのは、イベント・広告業はいうなれば「受け取る・伝える」といったコミュニケーションそのものが業務の根幹を成しているということです。そのため、採用においてもコミュニケーション能力について求める比重がとても高くなります。

そこで、コミュニケーションに関してもっと深く考察してみたかったり、自己肯定感を上げて就職の役に立てたいという方は「伝え方コミュニケーション検定」という資格があるので、取得を検討してみるのもいいかもしれません▼
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