イベントが出来るまでの仕組みや、関わる会社と利益について解説

イベントはどんな流れで出来上がるのか?

この記事では、主催者(広告主や事業主体)である企業・団体や国・自治体がイベントを発注してから出来上がるまでに、どういう会社が関わって、どのように予算が配分されているのかを説明していきます。

イベントの規模が大きくなるほど、多くの人間が関わり事業予算も大きくなります。そうなると、1社だけで業務を遂行することは難しくなり、協力会社に一部または全部の業務管理を委託したり、専門性の高いパートに関してはそのパートのプロフェッショナルへ任せることが必要になります。

逆に、さほど規模が大きくなく高い専門性を必要としないものであれば、ある程度内製することも可能です。

そのような、イベント制作の中でよくある業務体制をA・B・Cの3パターンに分け、「受発注とお金の流れ」が分かるようにフローにまとめてみました。なお、主催者が自分たちで自前でつくるというパターンは外しています。

それでは解説していきましょう。

Aパターン|広告・イベント制作会社が制作管理を行う場合

広告主から広告代理店などが仕事を請け、その下に広告・イベント制作会社が入って全体の制作管理を行い、各分野の事業者へ発注と指示を行うという業務体制で、かなりオーソドックスなパターンになります。(※フロー図では分かりやすくするため予算は100万円としてます。)

このパターンの場合、元請けとなっている広告代理店の役割は「イベントの品質・進行・予算管理」となり、基本的には自分達でイベントを制作するわけではなく、成功に向けたマネジメントが主な業務になります。

もちろん、全く手を動かさないというわけではなく、主催者(広告主・事業主体)へ提出するための資料や、ネットワークを活用したりネゴシエーションをしたりして調整を図らなければいけないことも大量に出てきます。

イベントは基本的に「フィー(作業報酬)ビジネス」のため、報酬は業務量に比例して増えていきます。広告代理店のように「コミッション(手数料)ビジネス」を主とする業務形態の中で考えると、イベント制作で時間を取られてしまうのはとても非効率になります。そのため、基本的に代理店は元請けとして事業統括のみを行い最低限の利益(代理店にもよりますが概ね15%は残したい)を確保して、実際の制作作業は二次請けとなる広告会社やイベントプロダクションへまるっと業務委託するという体制が組まれることが多くなります。

広告会社やイベントプロダクションは、代理店の代わりとなってイベント制作全般を担当し、代理店から預けれられた予算(上図の場合は総予算の85%)の中で、企画・制作、コンテンツ手配、三次請けとなる各協力会社への発注・管理などを行います。また上図では利益(粗利)を20%としてますが、ここは内容によってまちまちで、最低この程度は確保したいという数字です。運営や事務局等のスタッフを自社で手配したりと内製部分を増やせばその分粗利は増えていきますので、イベント規模にもよりますが20~40%位の粗利を残すことが多いです。

三次請けとなってるのは、イベントを構成する各分野の事業者で、会場造作を行う「施工・美術会社」、テクニカルと言われる「音響、照明、映像会社」、運営スタッフなどを手配する「人材会社」、クリエイティブと言われ、イベントではチラシやツールを制作する「デザイン会社」、特設LPなどを制作する「web制作会社」などが、協力会社になりそれぞれへ二次請けの会社から発注を行います。この三次請けの各協力会社の粗利は業種によってもまちまちのため、ざっくり25~70%程度としてます。

また、その他の発注・仕入れ先として『イベントコンテンツ』となる、「タレント・パフォーマー・著名人・有識者」等の他、「ゲーム等の装置」「展示品」「インフラ」などが挙げられます。

Bパターン|広告代理店が制作管理を行い、さまざまな制作会社へ分発注を行う場合

広告主から広告代理店などが仕事を請け、各分野ごとにプロフェッショナルを選定しプロジェクトチームを編成。各々へ分発注するという業務体制で、こちらもオーソドックスなパターンになります。

Bパターンの体制になるのは、「配下に制作管理の会社を入れるほど予算が無い」「代理店の利益を増やしたい」「イベント制作に馴れた代理店が仕切っている」「代理店のプロモーション部が仕切っている」などの場合が多いです。

このパターンでは代理店の負担はそうとう増えますが、その分利益が残り(図では20%位にしてます)、さらにコンテンツへ多くの予算を配分することができるというメリットがあります。

Cパターン|広告代理店を介さず、広告・イベント制作会社が直接業務を請ける場合

広告主から広告・イベント制作会社が直接業務を請け負うパターンです。A・Bパターンでは広告代理店が担当していた「品質・進行・予算管理」を広告イベント会社が担当し、さらに制作業務は内製化されるためその分利益が残ります。規模の大きなイベントになるとこの体制になる事はあまりなく、どちらかというと小規模なイベントの場合が多くなります。

ここで、何故わざわざ15%も中抜きする広告代理店を挟んでいるか?全てイベント会社が直接広告主とやり取りを行えばよいのではないかと思う方も多数いらっしゃるかと思いますので、何で広告代理店が介在することが多いのかその理由を説明します。

イベントに広告代理店が介在するには主に2つで

1つ目は、大規模イベントを行うようなクライアントの場合、広告代理店しか取引口座(アカウント)を持っていないことがあるからです。

国や自治体の場合も同様で、ある程度の金額以上のイベントを発注する場合は体力がある代理店を指名してのクローズドのコンペになったり、公示がかかっているオープンコンペの場合でも業務実績や会社の規模が規定に満たない場合は内容の審査に至らず落とされることもあります。

2つ目は、制作会社などの請け手側が「入ってもらった方がいい」場合があるからです。

国や自治体が発注するイベントの場合は実施報告書等の成果物を納入し、承認されないとお金が振り込まれません。例えば、12月末までが事業期間となっている場合、6月から打合せだなんだと準備をしたり経費を使って、11月にイベントを行ったとしても、12月末までに報告書を出して承認されなければ、途中でいくら経費がかかったとしても基本的には12月末以降にならないと自治体から入金されません。そのため、キャッシュフローのリスクを回避するため、事業期間途中でかかった経費を請求できるような体力のある大手広告代理店に元請けとして入ってもらう方が安心というわけです。

また、めんどくさいクライアントとのやりとりを一手に引き受けてもらい、制作業務に集中できるというメリットも非常に大きな理由です。

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