もっと面白いイベントにするために
そのイベントにはどんな人が参加していたのか? そのイベントのどこが良くて、どこが悪かったのか?イベントの客観的な評価を可視化するためには、来場者からのアンケートを収集するのが最も効率的な方法です。
この記事では、イベント来場者アンケートの作り方や収集方法、そして次回へ向けた検証の方法などを紹介していきたいと思います。
来場者アンケートを作るにあたって
来場者アンケートの方法は、大きく分けてデジタルと紙の2方向になりますが、どちらも一長一短があるため、そのイベントの来場者特性や導線などに応じて使い分けるのがよいでしょう。
紙の場合であればスマートフォンを持っていない方にも記入してもらえるため参加のハードルを低くすることができます。また、アンケートと引き換えに抽選を行えるなどのインセンティブに使う際にも紙の方がワクワク感が出ます。そして印刷して筆記具を用意するだけなので安く済ませることが可能です。ただし、紙の場合には追って集計作業を行う必要が出てきます。
デジタルの場合は、その場で書かせなくてもよいので会場内にアンケート記入スペースを設ける必要がない事と、ある程度集計の簡略化ができるというメリットがあります。またアンケートはGoogleフォームなどの無料のアンケートサービスもあるため簡単につくることができます。ただし、参加者にアンケートサイトへアクセスさせて、そこからアンケートの入力を行ってもらう手間があるため、何等かのインセンティブを付けないと参加のハードルが上がる可能性もあります。
いずれにせよ、アンケートを記入してもらうのはイベントを最後まで楽しんだ直後がベストです。いま体験した内容をつぶさに覚えていますし、良くも悪くも「主催者にひとこと申したい」気持ちになっていることが多く、よりリアルな意見を収集することができるからです。
イベントアンケートの例
よくある来場者アンケートの見本を作ってみましたので、この例に合わせて質問項目を解説していきたいと思います。
Q1:認知経路
このイベントをどうやって知ったか?という質問項目です。次回行う際に効果が期待できる媒体を中心に予算を投下するためです。
Q2:総合評価
イベント全体の満足度を図る質問です。ここでは4つに分けてますが、専門性や嗜好性の高いイベントの場合は「とても楽しめた」などのプレミアム評価の選択肢を入れると、ロイヤリティの高いファン層の数を伺うこともできます。
Q3:コンテンツ評価
イベントのどのコンテンツが面白かったかの質問です。人気の高いコンテンツの傾向を知ることで、次回の内容選定の検証につなげます。
Q4:来場者属性【同行者・地域】
どのような傾向をもったグループが何処から来ているのかの質問です。属性や場所に応じて告知方法やコンテンツの検証を行います。
Q5 :来場者属性【性別・年代】
どのような年代の男女が来ているのかの質問です。こちらも同じように、年齢層や男女比に応じて告知方法やコンテンツの検証を行います。
Q6:フリーアンサー
自由記述の設問です。様々な意見が書き込まれます。今までの経験上、大体6~7割くらいがイベントに対しての改善希望コメントなどで、3~4割くらいが面白かった等のコメントになります。(何回イベントをやってもやっぱりアンケートで楽しかったと書かれると素直にうれしいものです。)
選択式の質問ではわからなかった、運営のまずい箇所や気づかなかった点などが記入されていることが多いため、しっかりと全部のコメントに目を通すことをおススメします。
以上、ざっとよくある質問項目を解説してみましたが、ここでは個人情報の収集を行わない前提としています。個人情報を収集する場合にはしっかりと来場者にそのことを伝え、教育を受けたスタッフが対応する様にしてください。
このほかにも、イベント種類に合わせてもっと細かい質問を入れてみたり、アンケートのインセンティブを付けたりと、参加率を上げつつ欲しい情報を収集できる内容を考えてみてください。
どのくらいの数を収集すればいいか?
アンケートは統計調査のため、当然サンプル数が多いに越したことはありません。ですので全員からもらえればベストなのです、なかなかそうもいかないことが多いし、集計の手間とコストの問題も出てきます。
調査の正確性をどの程度に設定するかですが、よく使われるのは「±5%の誤差範囲」です。
この場合、調査する際に必要なサンプル数は
来場者数(母集団)が100人で、約80サンプル
来場者数(母集団)が1,000人で、約280サンプル
来場者数(母集団)が10,000人で、約370サンプル
来場者数(母集団)が100,000人で、約380 サンプル
となります。
1万人以降は必要なサンプル数が緩やかに上がっていき400以下で収束するため、1万人以上の母集団の場合は約400サンプルがあれば±5%の誤差範囲で集計結果を得ることができます。
サンプル数が増えれば正確性も増えますが、同時に集計の手間やコストが増える可能性もあるため、どの程度のサンプル数を取得するかをイベント主催者や関係各所と事前に調整しておくのがいいでしょう。