儲かるイベントってなに?逆に儲からないイベントは?

イベントには2種類の業態がある

イベントは「プロモーション」と呼ばれる、企業・団体や官公庁などが自らの製品・サービスの販促を目的とした宣伝活動と、 「興行」 と呼ばれる、入場料や放映料等によって収益を上げる事業の2つに大きく分けられます。

この2つの違いをごく簡単に説明すると、「プロモーション」は予め予算が決まっていることが多く、広告主からの依頼の元業務を遂行し、予算内でいかに効果(購買数の増加や接触・認知数の増加など)を上げることができるかが命題となります。そして「興行」は興行主(プロモーター)が主体となり、先行投資(会場、コンテンツ、運営人員、入場券の販売等)を行った上で催事を行い、そこで得た興行収入から先行経費を引いた分が利益として残る仕組みになっています。

気づかれた方もいると思いますが、「プロモーション」は『イベントを請け負う』、「興行」は『イベントを主催する』という主語で説明をしています。というのも、プロモーションは「目的を達成するための補助的な施策」、興行は「それ自体で収益を上げるための事業」となり、そもそもの目的が違うため、この記事ではイベントプロダクションの立場から、『プロモーションを受託して遂行していく場合』と『自ら興行を打って収益を上げていく場合』での儲けについて書いていきたいと思います。

儲かるイベントの業態は?

上記2つの業態では、“当たった時に儲かる”のは間違いなく「興行」です。ただし、失敗した時に抱えるリスクがとても大きいというデメリットがあります。

プロモーターの知り合いに話を聞くと、成功した時はそれこそ「天地が揺れ動く」と感じるほどの利益をたたき出し、とてつもない達成感に包まれますが、派手に失敗した時は、赤字の補填のために金策に追われ、みじめさと悲壮感に包まれるとのこと。実際にかなりの損失を出して失踪した方を何人か知ってますが、いま彼らは何をしているのか…。

対して「プロモーション」は、予め決められた予算の中でイベントを行うため、よっぽどのことが無ければ赤字になる事はありません。そのかわりに、一撃で大きく儲けるということもあまりありません。

プロモーションの場合、元請けである広告代理店で10~20%位、下請けはその残りの額の20~40%程度が通常の利益率となります。つまり、1,000万円の仕事なら代理店のもうけは100~200万、残りの800~900万を複数の下請けプロダクションが分発注を受けてそれぞれ利益を出す仕組みになります。プロダクションとしては予算の上限が決まっている以上、支出を抑えるか、案件の数をこなして利益を増やすしかありません。

儲かるイベント、儲からないイベントの種類は?

「興行」の場合、儲かるイベントの種類はシンプルで、『現在流行しているもの』『固定ファンがいるもの』です。前者で言えば、音楽、アニメ、マンガ、食べ物、動物、格闘技など、後者で言えば、音楽、ホビー(趣味)、スポーツ、食べ物などになります。ただし、いずれも「当たる」コンテンツをチョイスする嗅覚やセンスとコンテンツホルダーのとの折衝などの調整力が必要になります。

逆に儲からないものも非常にシンプルで『人々の興味を惹かないもの』です。多くの人にお金を出してもらう、またはそこそこの人に多くのお金を出してもらうためのは興味を惹くコンテンツであることが前提条件となります。

「プロモーション」 の場合、 儲かるイベントは『内製できるもの』『継続して実施できるもの』『自身がコンテンツやノウハウを持っているもの』そして単純に『額の大きいもの』になります。

上記でも説明しましたが、予算が決まっているプロモーションでは利益を増やすためには支出を減らす必要があります。そのため、外注をせずに内製できるものは利幅が大きくなります。そして、一定の利益が見込めるイベントを数多くこなすというごくごく当たり前のことが儲けるためのスタンダードな手法です。

そして、多くのイベント会社がやりたいと思っているのが、自身が人気コンテンツや、他社が持っていないノウハウを保有するということです。人気キャラクターを使ったショーやグッズ販売の権利、タレントの確保などの他社がまねできないモノや技術を独占的に取り扱うというものです。これは当然初期投資というリスクが伴いますが、うまくヒットしたりスタンダードとして定着すれば恒常的な利益を生み出すことができるかもしれません。

逆に儲からないのは『手間ばかりかかって利益が薄いもの』です。イベントはもともと手間がかかる割に量産ができないため、「かけた時間×利益」のバランスを見てやるやらないの判断をしなくてはいけません。

例えば企業の上顧客向け謝恩会をしたいというオーダーが来た場合、予算が200万でも1000万でも実は稼働にかかる負荷はそんなに変わらなかったりします。そのため、内容を確認し労力に対してどの程度利益が残るかをしっかりと精査しないと、苦労のわりに全然儲けが出ないという事になりかねません。