結論までのルートが企画の差になる
プレゼン資料や企画書をつくる場合、たとえゴールが決まっていたとしても、そこに到達するためのルートは無数にあります。
そして、最終的なゴールが一緒だとしても、途中のルートによっては相手が納得してくれなかったり、コンペで負けてしまったりすることがよくあります。
皆さんの中には、最終的には同じことを言っているのに、何故差がつくのか納得いかない気持ちになったことがあるという方も多いのではないでしょうか?
今回の記事では、まさに今パワーポイントでプレゼン用の企画書や資料を作っているあなたに、そんな目的までのルート形成の考え方を解説していきたいと思います。また、作る資料の名称は文中『企画書』で統一して進めます。
なお、パワーポイントで作るプレゼン資料の作り方やデザインの方法については、こちらの記事で解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。→【簡単!使い方解説】パワーポイントで作るプレゼン企画資料|デザイン編
1)はじめに|相手に理解してもらう資料にする
ほとんどの企画書は「相手があるもの」です。ですので、まずは相手に対してわかってもらうために作るという大前提を理解しなくてはいけません。そのためのポイントを3つ挙げます。
理解してもらうために1|シンプルにする
企画書を作る上でとても重要なポイントです。
細かい説明やエビデンスなどは別添で出すか、なんなら出典元を記入するだけでよく、必要なのは「だから何なのか」です。プレゼンの技術として“焦らし”は多少は必要かと思いますが、聞いている方からすれば一番知りたいのは「で、どうなの?」の部分です。
出力した企画書を配布してプレゼンしてる最中に、審査員がこちらの話を聞かないで先のページをペラペラめくっていることがありませんか?それは話し方もそうですが、内容が冗長で退屈してるからです。
そうさせずに聞かせて見せるためには、必要な情報を精査し本当に伝えたいことだけをシンプルにまとめることが大事です。
つまり、企画書は情報を加えるものではなく、引いて作るものです。
例)シンプルにする前↓
例)シンプルにした後↓
理解してもらうために 2|メリハリをつける
次がメリハリです。企画書には、「入りと抜き」つまり谷と山が必要です。芸人さんなんかがよく「緊張と緩和」と言ってたりしますが、ページ内や全体を通した緩急をつけることで、飽きさせず引き込むことが出来るということです。
情報の密度や言葉の強さなどは上下の高低差があった方が、ピークに達したときに注目を集めやすく、ずっと同じペースで聞いているよりも受け手に情報が入りやすくなります。
例)メリハリをつけるための前置き↓
例)メリハリをつけたページ↓
理解してもらうために 3|自分の言葉にする
他者と違いを出すということは、独自性を高めるということです。
企画書に書いてるその文言はどこからか借りてきたものではありませんか?本当にあなたが思っていることを落とし込んでますか?
自分ではそう思ってなくても、聞き手側は敏感に「自分の言葉かどうか」を察知します。耳障りのいい言葉も重要ですが、企画書が『相手に理解してもらう』ためのものだとすれば、伝えたいことを自分の言葉で発信することがとても重要になります。
例)普通の言い回し↓
例)独自の言い回し↓
2)資料の目的を考える|その企画の核心はなんだ?
相手に伝えるためのポイントを理解したら、次は資料の構造について考えていきます。まず、企画書や資料を作るにあたって一番初めに考えるのは何でしょう?
それは、その企画の核心です。つまり相手が一番欲しがっていることは何かを考えるということです。
相手が「手間を取りたくない」と考えているなら『一番簡単な方法』を。相手が「現状を打破したい」と考えているなら『まったく新しい方法』を提供するために、仕様書を読み解いたりヒアリングを行い、ともすれば依頼主もわかっていない企画の核となる部分を考えだします。
核心部分は見えましたでしょうか?あとは、そこに向かって企画を組んでいけば軸がブレず全体で一貫したテーマを持った提案になります。
3)資料の構造を考える|定番の流れを覚えよう
別の記事でも紹介していますが、企画書の書き方には特に決まりはありませんが「定番の流れや形」のようなものは存在します。
初めて企画書を作る人は、まずはその「定番の流れや形」を知ってその後自分の作りやすい形にアレンジをしていけば効率的に作業ができるかと思います。
それでは紹介していきましょう。
1.与件の整理
提案先の顧客からのオーダーの整理を行い、目的の確認と、目的達成に向けて課されているルール、そして目的達成の条件を確認する。
2.課題の抽出と確認
目的達成の向けた課題を整理し、それらの解決方法の検討を行う。
3.課題解決のための方向性
課題の解決策の提案と、それらの有効性の裏付けやエビデンスを記載。そして課題を解決し、目的を達成するための「手法・策」を提案。
4.企画の骨子
今回の企画のキモを大きく打ち出す。「タイトル」「ポイント」「ベネフィット」などを記載し、企画の軸と面白さを伝える。
5.企画の詳細
目的を達成するとこのようになりますというビジョンや、企画の具体的な説明の他、実施スケジュールや、コストなどの詳細を記載します。
以上になります。
ざっと5つのステップに分けてますが、実際にはこの流れにならないこともありますし、必要なページや逆に不必要なページも出てくるため、あくまでよくある流れと考えていただき、皆さんの企画内容に合わせて調整をしてください。
4)最後に|面白い企画書や提案にするために
冒頭で、プレゼンの際に相手と最終的には同じことを言っているのに、何故差がつくのか納得いかない気持ちになったことがありませんか?ということを言っていましたが、それはほとんどの場合、企画が「面白くなかった」からです。
企画が面白くなるかどうかは、テクニックや知見もそうですが、何より書き手が「面白いものをつくろう」と思っているかどうかにつきます。ここで紹介しているのは作り方のアドバイスです。よい企画にするためには、ぜひ、皆さんの気持ちを企画に込めてください。